「最近街でよく見かけるなあ」と思いながらも詳しく知らない方も多いのではないでか。スポーツブランド発ならではの高機能を携えた超高機能ダウンの詳細を確認していきたい。
水沢ダウンとは
学生時代にスポーツに勤しんだ人は一度は見かけたことがあるであろう「デサント」。そのデサントに2012年に「ALLTERRAIN(オルテライン)」が誕生した。ALLとTERRAIN(地形)を組み合わせた造語らしい。特定の年齢層、シーン、領域に捉われない服をと始まったらしい。つまり、「デサントといえばスポーツだよね!」という固定概念を覆す普段使いもスポーツシーンでもどんな時にでも着れる服ということだ。
このデサント・オルテラインの中で作られているダウンがある。このダウンが岩手県の水沢という地域にある工場で作られているため、そこで作られたダウンを「水沢ダウン」という名前で呼ばれている。
先ほど2012年に誕生したと話したが、水沢ダウンの誕生はその2年前の2010年に遡る。2010年に開催された冬季バンクーバーオリンピックの日本の公式ウェアにこの水沢ダウンが採用されたのだ。当時Maid in JAPANの高品質ダウンが存在しなかったらしく、デサントがスポーツ分野で培われた技術をふんだんに採用しながら作り上げた商品である。
男性には共感してもらえると思うが、この時点で既に欲しい。。。
数々の高機能
スポーツブランドの英知の結晶ということで、ほかの高級ダウンと比較しても非常に多くの特徴のあるダウンである。
- 熱圧着ノンキルト加工
水沢ダウンと言えばこれ!という人もいるだろう。ノンキルトに関しては水沢ダウンで大いに話題になり、一気に模倣ダウンが増殖した経緯もある。ではノンキルトの良さは何なのか?
ダウンと言うのは水が天敵だ。ダウンジャケットは中に羽毛(ダウン)が入っているのだが、そのフワフワの羽毛が水に濡れたところを想像してほしい。ぺちゃんこになっていると思う。つまり、ダウンは水に濡れるとへしゃげてしまい、保温性を全く発揮できなくなる。
そして、縫い目が外に出ているダウンはその縫い目からダウンパックに水が浸入し、保温性を落とすことが問題となってしまう。しかしノンキルト加工の場合には、針の縫い目が存在しないため、どこからも水が浸入しない作りになっている。そのため、より高い保温性が保たれるのだ。
それなら全世界のダウンをノンキルトにすれば良いじゃないか!となるが、そう簡単にはいかない。何故ならダウンというのは羽毛である。密閉性に弱く、通気性が良くないと質の劣化に繋がってしまうのだ。通常のダウンであれば針の縫い目があるため、そこで息をするように通気性が担保されるものの、ノンキルト加工では密閉されるため、ただ圧着するだけでは長持ちしない。では水沢ダウンはどうなっているのか。
水沢ダウンの生地は「透湿性」を兼ね備えている。これは内から外へ湿気を逃がし、水は通さないという最強の素材である。有名なものはゴアテックスだ。これにより、密閉しながら湿気を逃がし、ダウンの劣化を防いでいるのだ。
また、安いノンキルト加工のダウンで頻発するのが、熱圧着部分の剥離だ。これは水沢ダウンでは聞いたことがないが、安いノンキルト加工のダウンのクリーニングでよく耳にする現象だ。これは自分の推測ではあるが、熱圧着時にウレタン系の素材を使って圧着していると思うが、ウレタン系の素材は熱に非常に弱い性質を持つ。その結果クリーニング時に高温に晒され、ウレタン系の熱圧着が劣化してしまい、圧着部分が剥離してしまっていると考えられる。ただ、こういったケースは今まで水沢ダウンでは耳にしないどころか、クリーニング時の洗剤のことまで考えられたポケットが脇裏に付いているように、メンテナンスまでしっかりと考えられていることに感服する。
- 防水透湿性
これも水沢ダウンの大きな特徴だ。先にも述べたが、ダウンは水が天敵である。一方で通気性が担保できないため、防水性は一般的には採用できなかった。が、水沢ダウンが技術の結晶でそれを作り上げてしまった。
ステッチをなくしただけでなく、生地も防水性を備えることで、ガンガン濡れても大丈夫なダウンになっている。大雨大雪問題なし、まさにALLTERRAINそのものである。
高いストレッチ性
防水性の素材が表地ということは雨合羽っぽいハリ感のある素材なのか。。。と思いきや、全くそんなことはなく、表地も非常に柔らかく、ストレッチの効いた素材でできている。素材の世界では超有名な東レとタッグを組み、防水透湿性を担保しながら、着心地を損なわないストレッチの効いた記事を作り上げてしまった。これにより、水沢ダウンは少し細身の作りなのだが、そんな中でも窮屈に感じない、動きやすい着心地が再現されている。
代表モデル2選
そんな超高機能の水沢ダウンの代表モデルを2つ紹介しておく。95%くらいの人がこのどちらかを買うのではないかと思う。
- マウンテニア
水沢ダウンと言えばこのモデルである。近未来的なデザインのカッコよさがあり、どんな洋服でも合わせやすいThe定番モデルである。迷ったらこれで間違いないだろう。
- アンカー
マウンテニアだと少し首元の近未来感が気になるな。。。という人にはコレ。フード着脱可能なのと、首元やボディの作りが非常にシンプルなため、さりげない水沢ダウンで着やすいモデル。あと安い!
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まとめ
いかがだっただろうか。つい長くなってしまったが、それだけ水沢ダウンは機能性が詰まった一着となっている。また、最近ダウンの値上がりが激しいが、水沢ダウンは発表から10年間値段が全く変わっていないところも個人的に好印象だ。勿論洋服の好みがあるが、高級ダウンの中ではスペックの高さ、着やすさから個人的にオススメのダウンである。
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